コロナ禍以前の開催時:石田房枝先生からのご案内


以前当会で「のどの歯固め討論会」をテーマとしてネット勉強会を開催しました。

茶話会でもこのテーマでみなさまと意見交換を行いたいと思います。

ぜひご覧いただきご参加ください。


▽石田房枝先生より

最近『「自分で食べる!」が食べる力をそだてる 赤ちゃん主導の離乳(BLW)入門』ジル・ラプレイ+トレーシーマケット著 坂下玲子監訳  原書房  という本が出版されました。

 

この本に出会う前に私は以下のようなことを考えていました。

怖い窒息を起こさないで済む、赤ちゃんからの訓練法です。

大人が教えるのではなく、赤ちゃんが自分から楽しんで出来る方法です。食べる練習のためには、昔から歯固めを子どもが好むに任せて与えていました。

 

咀嚼ではなく、誤嚥しない嚥下の訓練、それも赤ちゃん自身がやる方法はないものかと考えたのです。

よろしかったらお考えをお教えください。

 

「のどの歯固め」---皆さまもお聞きになったことのない言葉だと思います。

実はこれは私がひょいと思いついた言葉で、とても気に入り、関心お持ちの方と、是非話し合っていきたいと思いました。

 

 赤ちゃんが固形物を食べ始める前から、昔から「歯固め」と言って、子どもがガチガチくわえてもしゃぶっても危険でなく、安心して口を動かす練習というか、しゃぶりたい、くわえたい本能を満たすものを与えていました。今はその習慣はほとんど失われてしまっているのですが、是非残したいものだと思うのです。

 

 そればかりではなく、赤ちゃんが固形物を食べ始めるにあたって、安全で楽しく飲み込みの練習ができたらいいなと思い、口の歯固めに習って、「のどの歯固め」という言葉を思いついたのです。

 

今離乳食指導は、歯科が主導して行われていますが、大人の考えで順序良く進めていくというやり方に対して、私は少し違和感を持っているのです。

 

 子どもは親が与えなくても、何かしら見つけては口に持っていき、ガチガチやりたがります。そして口の動かし方を自分で学習していったのです。舌が前後に動き、次は上下、左右など全く関係なく舌の動きもひとりでに覚えていったのです。

このような、口に物を取り込んだ後の動かし方は、子どもが主体的に自由に勝手に学習していき、身に着けていきました。

 

 次の段階として、食べもの(食べ物以外でもある?)を取り込んで口の中で操作した後飲み込むときの練習、誤嚥しないで飲みこめるようになる、子ども主導型の練習方法をここでは「のどの歯固め」と名付けました。

 

 食べ物が口の中にあるうちは、トラブルがあった時、自分で吐き出したり、親が手を出すにしても、取り出しやすいです。

しかし口を通過してのどに行ったとき呼吸路をふさぐ危険性があります。

又、飲みこめないと気づいて出そうとしても口以上に吐きだすことが難しいという現実があります。

窒息死を起こすようなことは全く許されません。

それが怖くて親は、離乳食の形態を上げることができにくく、ひいては、子どもの食べる機能がしっかり育たず、親の介助なしには食べられない、ひ弱な子どもがあふれている現状なのです。

 

子どもが受け身にならないで、形のあるものを上手に食べ、飲みこむ練習がスムーズにできるためにどうしたらよいか皆さまのお知恵をお借りしたいと思うのです。

 

 昔親は、この様な時は自分の口でカミカミして、この状態で上げられると判断した時、自分の口から出して、それを子どもに与えていました。

昔もたまにはこの段階で窒息死した子がいたかも知れませんが、大部分は元気に親と同じものが食べられる子どもに育っていったのです。

そして現状のように、食べられない子が氾濫する状態ではなかったのです。

親の口移しは、母子感染問題と歯科が唱えて、これはだれが言い出したのかわからないのですが、きちんと検証、討論することは無く、あっという間に世間一般に広まり、昔の育児法は古くてだめだという一番の例として利用されている現状です。

 

母子感染問題のほかに、歯科では離乳食を進める段階を口の機能の発達と合わせて(主に舌の動き、前後、上下、左右)初期食、中期食、後期食と分け、きちんと親がそれを正しく見きわめて与えるよう指導しています。

指導された親にしてみれば、舌の動きが上下とか左右だとか見分けには自信がない人が多いのです。そこで市販の離乳食を利用することになります。それには適用月齢が書いてありますから、我が子の月齢ははっきりわかりますから、中期食か後期食かを決めるのは簡単で、購入して与えることになります。そして親は子供に与えるものを自分で食べてみるということもしなくなってしまったのです。

ということは家庭の食事と、子どもの食事が分断されてしまったということなのです。

私達は離乳食教室を行い、そこでは食べるものを出しています。事前に親が自分で食べてみて、それを今日子どもに与えても良いものかどうか、自分で判断するよう伝えるのですが、殆どは出されたものをいきなり与えてしまいます。

 

母子感染説を広め、口腔機能の発達の順番を強調して親に指導し、離乳をやりにくくして、食べる力がつかない子を多く輩出してしまった歯科の責任はとても大きいと思います。

このような現状を打破し、元気よく食べられる子どもに育てるにはどうしたらよいか、皆様方のお知恵を拝借させていただきたいと願っております。