赤ちゃん歯科ネットワーク 第21回の御案内

日 時 平成29年6月15日(第3木曜日)

           ご希望の方には昼食にお弁当(別途1000円)をご用意します。

           お申込の際にお弁当の有無をご記入ください。
●午前の部 9時30分〜12時(受け付けは9時から)
  赤ちゃん姿勢発達教室

   指導 講話 吉田敦子先生(助産師・当会相談役)
会員のみ10名くらいは見学可能です。先着順となります。

 →見学希望者が定員に達しましたので、これからお申し込みの方はキャンセル待ちとなります。
当日指導を受ける4カ月未満の赤ちゃんをご紹介いただける方は優先的に見学できます。


午前の会場:みらい平コミュニティーセンター 第一研修室
  http://community-center.tsukubamirai.org/index.html
  〒300-2359 茨城県つくばみらい市紫峰ヶ丘4-4-1
    つくばエクスプレス みらい平駅より徒歩約13分
    常磐自動車道谷田部ICより約16分、谷和原ICより約15分


●午後の部 講演会 13時から16時まで 
午後の会場:みらい平コミュニティーセンター 第一研修室(午前と同じ会場です)

 ○午後第一部

    午後1時から3時まで

     前田隆秀先生(日本大学名誉教授 当会顧問)

 

こどもの健康に歯・口が重要

  ―臨床データ・基礎データに基づく―



 大学で19年間にわたって教授職に携わり、原著論文149編の他、学位論文74編をPublishすることができました。本日の講演で用いる資料はすべて我々の研究データであり、研究から導かれたEvidenceに基づいております。
講演内容
・初めに私が小児歯科の中でも全身疾患を有する小児の口腔管理を専門としていましたので,自己紹介を兼ねて話させて頂きます。
・う蝕と先天欠如歯の主要遺伝子の解明
 19年間のメインテーマは,口腔疾患を起こす遺伝子の解明でしたした。易感染症として血液疾患と歯科、先天性心疾患と歯科、小児の顎関節症、咬合異常(後方交叉咬合)と中耳機能、咀嚼と顎顔面形成ならびに記憶、低位歯への対応、などその内からう蝕と先天欠如歯の主要遺伝子の解明を話させて頂きます。
 ・乳歯列期に不潔性歯肉炎を除外して歯周疾患が出現した場合は、全身疾患特に血液疾患を疑わねばなりません。血液検査の結果、先天性無顆粒球症と診断された症例を通じて全身と歯科の関係、また先天性心疾患患児の口腔管理の重要性を述べます。
・小児の顎関節症
 これも症例から研究へ進みました。
 12歳女児 突然顎関節部が痛みだして口が開かなくなり当科に受診。開口量は20mm、開口時に右側顎関節部に痛みを訴えた。オルソパントモ所見から下顎両側第二乳臼歯の晩期残存から早期接触を起こして顎関節症を引き起こしたと考えてMRI撮影したところ関節円板の転位は認められなかったがT2強調画像から上下関節腔にJoint effusionを認めた。そこで下顎両側第二乳臼歯を抜抜去,開口量は、抜歯した翌日には32mmとなり顎関節部の疼痛も軽減し、2週間後には45mm、3か月後には52mmとなった。
 そこで早期接触による外傷性咬合が顎関節に及ぼす影響をラットを用いて検証した。ラット臼歯咬合面にレジンを接着し早期接触モデルを作成し、処置後7、14、28日にMicro-CTによって同一ラットの顎関節部を経時的に撮影したところ処置後28日にはMicro-CT画像と病理組織切片から明らかに関節頭の骨増生を無処置のコントロール群と比較して認めたことから咬合異常が顎関節症を起こす可能性が示唆できた。次に顎関節症状を訴える小児66名とわずかな不正咬合を主訴に顎関節症状のない小児30名をコントロールとしてMRI所見を基に小児顎関節症の実態を検討した。なお顎関節症小児のMRI所見からの検討は始めての報告であった。 顎関節症患児の80.3%が関節円板前方転位が認められ、45.5%がJoint effusionを認めた。また顎関節症状がないコントロール群でも関節円板前方転位が16.7%もあったが、Joint effusionはまったく見られなかった。このことから顎関節症状を訴える小児では、決して軽度ではなかったこと、さらに顎関節症状がない小児でも顎関節に異常があることは驚きであった。
 咬合異常がある小児では顎関節症を惹起する可能性があることが分かったところから耳機能に影響がでている可能性を予測して咬合異常のうち、乳歯列期で後方交叉咬合を有する小児と正常咬合の小児をコントロール群として後方交叉咬合による咬合異常が中耳機能に影響するか否かをティンパノグラムで比較検討してみた。コントロール群では左右の中耳空圧に差がないが、後方交叉咬合群で左右差を認められ咬合異常は中耳機能に異常を起こす可能性が示された。
・咀嚼運動の重要性
 軟食化が顎の狭小化を招来しているとの議論があることから、それが事実であるか否かをラットを用いて解明した。実験群では、4週齢の幼若ラットの臼歯を抜歯して軟食を与え、対照群では抜歯しないで固形食を与えて、5、7,9、12、15、20週齢まで同一ラットの頭蓋顎顔面ならびに大腿部の長管骨をマイクロCTにて経時的に検討した。その結果、実験群では対照群より有意に顎骨は小さくなり、骨密度も低下した。一方、大腿骨の大きさ、骨密度には有意差が認められなかった。以上のことから咀嚼運動に寄与する咀嚼筋活動がいかに骨の成長発育に影響するかが分かった。また、胃腸機能に及ぼす影響を胃酸排出量、ペプシン活性、小腸輸送能で検討したところ抜歯群の咀嚼機能の低下が胃腸機能を有意に低下させることが明らかになった。次に脳機能、特に記憶を司る海馬歯状回の神経幹細胞の再生能をRNAで検討した。実験群では対照群に比べて有意に神経幹細胞数が減少しており記憶能力の低下が示唆された。そこで迷路実験で確認したところ咀嚼低下が記憶低下を起こすことを証明した。
・最後に19年の教授を通じて行ってきた主たる研究を紹介致します。それは、口腔疾患の主たる原因遺伝子の解明です。あらゆる疾患は遺伝要因と環境要因によって発症します。口腔疾患も例外ではありませんが従来、口腔疾患と遺伝を分子生物学的手法を用いた研究は皆無でありました。そこで誰も踏み入れなかった領域を研究テーマに選びました。遺伝研究はヒトを用いることは極めて困難であることから、マウスを用います。研究にはすべての各遺伝子が相補的にホモである近交系マウスを用いて、疾患の発症に違いのある複数の系統を用いて交雑させてその子孫の疾患の有無と遺伝子マーカーの関係から遺伝子座を求めて、候補遺伝子を挙げてからその塩基配列の違いを確認して特定遺伝子を推察するわけです。研究した疾患は、う蝕症、不正咬合、先天欠如歯、エナメル質形成不全、唇顎口蓋裂です。すべての染色体上に配置されている30億塩基対に及ぶ遺伝子の中から特定の疾患遺伝子を探すことは根気のいる仕事で20年間に在籍した大学院生の努力の賜物です。小児歯科大学院生には臨床と研究を義務づけましたので、研究は主に夕方から始まり深夜に及ぶことが日常でした。ほとんどの大学院生の学位は海外の一流雑誌に掲載されました。
 本日、講演させて頂く研究は医局が一丸となって成し遂げられた偉業であることを胸を張って言えます。現在、定年退職した私の自負するところであり、全医局員に感謝して講演を終わります。 

 

 ○午後第二部

    午後3時から4時まで

     益子正範(会員つくばみらい市ひかり歯科医院)

 

  ― 一卵性双生児の口蓋形態を通して学ぶ赤ちゃん歯科―


 昨今の子どもたちに見られる口腔の形態と機能には多くの問題が提起されている。これには顎骨の発育や気道の狭窄、またそれら以外にも成長途中にある問題の可能性も指摘されてきている。乳児の口蓋形態の観察により歯の萌出前の顎発育の良否が一定の影響を与えることが分かってきており、口腔内模型を評価することで上顎の成長変化を観察してその影響を示す有効性が分かっている。形態や機能の問題は、全身との関連性から相互的影響があるため、一般臨床の場面でも早期の介入を求められることがある。
 今回、当院の一卵性双生児の産直後からの口腔内模型をもとに観察をするという貴重な経験が行えた。その経験を通して0歳からの気づきがどのように全身やその後の健康に影響を与えていくのかを考察したので報告をしたい。

 

●参加費 会員3000円  非会員5000円  (事前に振込みをお願いします。)
  振込先
  ゆうちょ銀行 068(ゼロロクハチ)支店
  普通 5198703 キムラアケミ
●参加ご希望の方は、下記の申し込みフォームにご記入の上、送信してください。
●申し込み締切日 6月9日(金) 参加費振込締切日6月12日(月) 
●29年度(2017年4月1日~2018年3月31日)の会員継続をご希望の方は会員継続登録をしていただき、(https://www.babydnet.org/入会案内/)年会費もあわせて6月12日(月)までにお振り込み下さい。
 

※2017年 今後の予定        
○8月17日 午前 赤ちゃん姿勢教室 吉田敦子氏
(赤ちゃん姿勢教室は,会員のみ見学可能です。毎回4カ月未満の赤ちゃん10名以下にアドバイスをいただきます。今年度は6月から12月までの4回つくばの会場で行います。参加希望の赤ちゃんは事務局までお申し込みください。ご紹介いただいた方は優先的に見学可能です。)
      午後 1時~1時50分 昨年度赤ちゃん歯科相談のまとめ  中田かず子
      2時~4時 講演 群馬県助産師会会長鈴木せい子氏
○10月20日 午前 赤ちゃん姿勢教室 吉田敦子氏
午後1時~4時 講演 札幌吉田学園さくら保育園園長武岡弘子氏
○12月14日(特別第2木曜日) 
午前 赤ちゃん姿勢教室 吉田敦子氏
午後 1時~4時 離乳食の実際
○2018年2月15日 会員発表 交流会
       発表希望の方は事務局までご連絡ください。

第21回例会 申し込みフォーム

午前中の姿勢教室は、見学希望者が10名の定員に達しましたので、これからお申し込みの方はキャンセル待ちとなります。

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*同じ施設から一括でお振り込みになる場合は、その旨メッセージ覧にご記入ください

*申し込み後キャンセルの場合は「お問い合わせ」フォームから必ず前日までにご連絡ください